●2020年、世界が大きく変化した
2020年4月7日、政府は東京・大阪を含む7都府県に対して緊急事態宣言を行い、4月16日には全国へと拡大しました。記憶に新しい人もいるかもしれませんが、新型コロナウイルス(COVID-19)が世界的に大流行し、大きな変化をもたらしました。「不要不急の外出自粛」や「stay home」といった言葉も生まれ、学校では自主休校、会社でも時差出勤やテレワークの導入を余儀なくされることもありました。このように感染症の流行は、我々の行動に強い制限をかけたのです。
●コロナと私たち
私は当時、高校生でした。もちろんさまざまなダメージを受けてきました。オンラインでの交流ばかりでなかなか友達ができなかったり、修学旅行が中止になってしまったり。せっかくの文化祭も規模縮小での開催となったり、30℃を超える夏の体育館でマスクをつけながら部活をしたりと、非日常的な日常を送っていました。2020年の調査でも、コロナの影響によって大学生活の“充実度”(特にコロナ禍での入学となった1年生)が激減していることが示されています (全国大学生活協同組合連合会, 2021; 安田ほか, 2021も参照)。
〈「第56回学生生活実態調査」(全国大学生活協同組合連合会, 2021) より引用〉
●悪いところにだけ目を向けないで
そうは言っても悪いことばかりではありません。例えば、自分時間。家にいる時間が増えたからこそ、新しい挑戦だってできちゃいます。
新しい趣味を作ってみたり、SNSを活用してみたり、資格取得に取り組んでみたり。内閣府の調査によると、このチャレンジ精神の傾向は特に10代、20代に見られるようです (内閣府, 2020)。私自身もステイホーム期間に以前から興味があった動画編集を始めました。今では大学の授業発表などに役立てることができています。ほかにも、友達と一緒に3~4時間の長散歩をして健康維持に勤めていたという同級生もいます。
ほかの例として、家族時間。オンラインでの活動が増えた分、家で家族と過ごす時間が増えました。内閣府の調査から、家事や育児への向き合い方にも変化があったことが分かります (内閣府,2020)。家族時間が増えたという人の80%以上は、この家族時間を保っていきたいとも回答しています。自分自身も大学生になり一人暮らしを始めたことで、家族のありがたみを感じることもしばしば。普段は気づかないことにも、イレギュラーな環境に置かれたからこそ気づけたことがありそうです。
一見絶対悪に見える(実際そういう場面もあるでしょう)ことでも、見方を変えれば、違う側面から観察してみたら、もしかすると新たな発見が隠れているかもしれません。みなさんの周りではいかがでしょうか。
References
全国大学生活協同組合連合会 (2021). 第56回学生生活実態調査の概要報告. https://www.univcoop.or.jp/press/life/report56.html (Accessed: 2024/9/27) (図表⑮)
安田 祐司・大谷 光一・宮田 久仁子 (2021). 学生総合共済における新型コロナウイルスの影響と学生生活の変化. 生活協同組合研究, 548, 48-56. https://doi.org/10.57538/consumercoopstudies.548.0_48
内閣府 (2020). 新型コロナウイルス感染症の影響下における 生活意識・行動の変化に関する調査. https://xn--rcktbp5f291rly5ahx9c.com/newsimg/200715_08.pdf (Accessed: 2024/8/9)
〈この記事を書いた人〉
青木海
大阪大学文学部人文学科比較文学専修。アイスは抹茶派。コロナ禍には、友人とZoomを繋ぎ、真夜中にIPPONグランプリを開催していた。