●学生生活の安心を守るために:カルト団体にご注意!
誰でも入ることができる大学のキャンパスは、カルト団体から見て格好のターゲットとなっています。大学生活は、高校生活に比べて自由で将来の希望に満ちている半面、さまざまな不安や悩みを抱え孤立化してしまう可能性もあります。カルト団体は、このような学生の心の隙間に入り込み、巧妙に正体を隠して近づいてきます。
第59回学生生活実態調査によれば,「宗教団体・カルトからのしつこい勧誘」を受けた経験があると答えた回答者は全体の1.8%ほどで、自宅生の1.2%に比べて、孤立化しやすい下宿生では2.4%と多くなっています (全国大学生活協同組合連合会, 2024)。調査の回答にあった体験談もいくつかご紹介しましょう。
自分が東京に上京したての新入生で少なからず不安があった時、当大学の公認学生支援団体を偽ったカルト団体に勧誘を受け、その後洗脳的な活動を受けた。大学や知人の協力もあり強引に抜け出し、またそのカルト団体の情報を大学に提供したが、抜け出した後も学内に信者がいるためいつ報復されるか分からず大学1年目から受験生時代よりも遥かに辛い日々を送った。(理工系・2年・男性・自宅外)
困ったことは大学に一人で行くとたまに宗教かマルチの勧誘と思われる知らない何人かの大人の人に声をかけられて連絡先を聞かれることがあることです。最初はサークルか何かの勧誘かと思って話を聞いてみるとたわいもない話を長い間されてどのように切り抜けていいか分からないことが度々あってどうしていいか分からないと思う。(文科系・1年・女性・自宅外)
●カルト団体の手口と回避方法
カルト団体に取り込まれてしまうと、行動や思考の自由を奪われ、詐欺的商法や違法な献金などで経済的に搾取される被害を受けるだけでなく、自らも加害者側にまわってしまうことがあります。さらには、結婚や恋愛、性的自己決定権、家族関係などに不当に介入されて自由が侵害されたり、指導者などによる暴力・虐待を受け、犯罪などの反社会的な活動に向かってしまうことも…… (早稲田ウィークリー, 2023)。カルト団体は、キャンパス内外でボランティアやスポーツなどのサークル活動を装って近づいてくることもあれば、恋愛感情や親密な関係を利用して学生を取り込もうとすることもあります。近年では、SNSなどを活用して勧誘する場合もあります。
このようなトラブルに巻き込まれそうになったら、とにかく、1人で抱え込まないようにして、大学学内の学生相談室、公的機関、法テラスなどに相談してください。また、友人がカルト問題に悩んでいる場合、助け船を出したくなることもあるとは思いますが、そのような場合でも必ず専門家に頼ることが重要です。友人を救い出そうとしてカルト団体に接触し、自らも取り込まれてしまった事例もあるからです。
References
全国大学生活協同組合連合会 (2024). 第59回学生生活実態調査 概要報告. https://www.univcoop.or.jp/press/life/report.html (Accessed: 2024/8/9)
早稲田ウィークリー (2023).カルトの本当の怖さって? 狙われる早大生、巧妙なその手口と対策の心得. https://www.waseda.jp/inst/weekly/feature/2023/10/23/113117/ (Accessed: 2024/8/9)
〈この記事を書いた人〉 大築匡
全国大学生活協同組合連合会広報調査部。