●飲み会楽しい!課題めんどくさい!
大学生になって初めて体験することの代表例に、飲み会などのイベントがあります (もちろんお酒は20歳になってから)。お酒のことに限らず、飲み会ならではの空気感や高揚感は、ほかでは味わうことができません。一方で、学生である以上、勉学という本分を忘れてはいけません。真面目に勉強していれば、当日まで課題を放っておくなんてことはないはずですが、たまに忘れていたり、忙しかったりすることもあります。そんなときに限って飲み会の誘惑はやってきます。飲み会に参加すると、日をまたぐなんてことも珍しくなく、さらにお酒を飲んでしまえば判断力も鈍ってしまいます。すなわち、ほとんどの場合、飲み会に行く=その日の課題を諦める、ことを指すでしょう。居酒屋で、「課題提出は本日23:59締切」という赤文字を何度見たことか。
●大学生に陥りがちな「先延ばし癖」
でも実際、課題を残したまま飲み会に行くと、頭の片隅から「課題」の2文字が消えず、存分に楽しむことができません。そうした問題を解決する方法は簡単で、計画的に勉強するというだけです。でも、大学生の中には、早め早めと思っていても気が付けば期限が近づいている、という人もいるんじゃないでしょうか。そうした「先延ばし癖」を解消するのはなかなか難しいですが、たとえば、取り組むタスクを10分などの短いタスクに細分化するといった方法が有効かもしれません。人間は大きな目標に心理的な抵抗を感じやすいといいます。そのため、タスクを細分化することで心理的障壁を低くして、実行に移しやすくするとよいのではないか、というわけです。ほかにも、自分にご褒美を与えたり、目標を他者に公言したりといった方法も考えられます。
ちなみに、「先延ばし」には、いくつかのタイプ分類があるそうです。小浜・高田 (2023) によれば、先延ばしは、①否定感情タイプ (先延ばしがネガティブな感情につながりやすい)、②楽観タイプ (計画性や熟慮が足りず状況を楽観的・ポジティブにとらえてしまう)、③遂行優先タイプ (ややストレスを感じつつも、計画的に先延ばしする)、④切替タイプ (先延ばしによって気分を切り替える) に大別されるそうです。もしかすると、自分の「先延ばし」がどのタイプに当てはまるかを把握できれば、それに応じた対処法も見つかりやすいかもしれません。
実はいまみなさんが読んでくださっているこの原稿も、本来の〆切を過ぎてしまったあとに提出しています…。私も、先延ばし癖について調べて、気をつけないといけないなと思いました。一緒に頑張りましょう。
References
小浜駿・高田治樹 (2023). 先延ばしの簡便なタイプ分類方法の開発. 教育心理学研究, 71(2), 100-116. https://doi.org/10.5926/jjep.71.100
〈この記事を書いた人〉
中島規希
大阪大学工学部環境・エネルギー工学科2年。中学校までは、夏休みの宿題なんて初日に終わらせていたのに。