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96)趣味が生きがい

●車輪が一つでは走れないから

現実の人生 (勉強とかバイトとか大学生活とか) を車輪の片側とすると、趣味は私にとってもう片側の車輪です。現実が苦しければ苦しいほど趣味がはかどる。バイトのシフトで家に帰るのが夜の10時を回ったら、その埋め合わせをするかのように日付が変わる頃まで猛然と趣味にいそしむ。それが私という人間でした。現実逃避の手段であり、もう一つの人生。それが極まったのが、大学4回生と修士課程2回生の頃だったと思います。



●体力はあっても計画性がなかったから

元気で立派なオタクだった私は、いわゆる同人作家でした。趣味で作った本を即売会で売るタイプのオタクです。卒論で現実の人生という車輪が高速回転になり始めた私は、もう一つの車輪である趣味、つまりは同人活動も凄まじい勢いで回していました。卒業論文の目安は2万字ですが、並行して趣味では6万字程度書いていました。どうかしちゃってるぜ。卒論が無事終わった暁には、これを本にして頒布しよう。そう思った私は11月頃に、翌年2月頃に開催される即売会に、サークル参加 (本を配る側の人間として参加すること) の申し込みをしました。卒論提出の締切が1月。賢明な皆さんなら思ったことでしょう。「同人誌原稿の入稿締切ってそれよりもう少し前じゃない?」そして「卒論って提出したあとで口頭試問あるよね?」と――それに私が気付いたのは、卒論提出後の話でした。


ですがそこは車輪の両輪を猛然と回す人間。早割で入稿した上に口頭試問も終わらせ、私は笑顔で即売会に発ちました。ビッグサイトだったかインテックスだったかは覚えておりませんが、全てを終えたあとで「もう二度とこんなことはするか」と思ったことは覚えています。



●二度あることは三度あるかもしれないから

賢明な皆さんは冒頭を思い出していらっしゃることでしょう。「それが極まったのが、大学4回生と修士課程2回生の頃だった」と。修士論文でも同じことをやりました。今度こそ、もう三度とやりません。趣味でハイになるのは気持ちいいですが、ツケは必ず自分に返ってきます。どうかほどほどに。



 

〈この記事を書いた人〉

ざざざ

人文系を専攻。研究で本を読み、趣味で本を読む。研究で文章を書き、趣味で文章を書く。そのため平日でも休日でもやることが変わらない。小説では1時間に3,000字以上書けるのに、論文では1,000字書くのに1日かけたことがある。

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