●学術の世界に足を踏み入れる第一歩
「学会」と聞くと、どこか自分から遠い世界の話で、高尚で難しい印象をもつ人もいるのではないでしょうか。
学会とは、共通の関心や専門分野をもつ研究者たちによって組織された学術コミュニティのことを指します。 「学会発表!」というとき、ほとんどの場合は、学会が主催する学術集会(年会)や研究会のことを指しており、そこでは、各々が自分の関心や研究の成果を発表します。もちろん、発表をせずに聞くだけの参加みたいなこともアリです。
同好の士の集まりに小規模なオフ会からコミケのような大規模イベントがあるように、学会の年会や研究会も100人程度の小規模のものから1,000人規模の人が参加するような大規模なものまで、その規模や雰囲気は多岐に渡ります。
学会はいわば研究者たちの社交の場。初めての学会発表は、まさしく社交デビューです!
●研究を通したあなた自身のアピールへ
学会で研究の成果を発表することは、近い分野や領域の研究者たちにあなたのことをアピールするとても良い機会です。発表を通して「おもしろいやつがいるぞ」「元気な学生がいるな」などと存在感を示すことは、研究者を目指す学生にとっては重要なことです。
研究者を目指す学生でなくても、「1つの研究をまとめあげた」ということは、学生生活における1つの立派な成果です。研究を通して「下調べをする」「取り組む問題・課題を決める」「仮説を立てる」「検証する」「結果をまとめる」「報告する」という一連のプロセスを経験していることは、企業の就職活動でアピールできるポイントにもなります。
●学会の参加費用が自腹になる場合も……
学会の参加はタダではなく、参加費・交通費・宿泊費が必要です。多くの学会で学生の参加費は安くなっており、無料の場合もありますが、交通費や宿泊費はそうもいきません。学生が研究費を獲得していることは少ないので、教員や大学がもつ研究費から費用を支出することになるのですが、大学のルールや研究室・ゼミの方針、教員が使える予算次第で、学生の費用負担は大きく異なります。
実際、学会の度に自腹を切る学生も少なくないようです。教員から学会発表を勧められたとき、学生の費用負担があるかはしっかりと確認しなければいけません。もし自腹のときは、自身のモチベーションや希望する進路、経済状況などを踏まえて、総合的に判断するのがよいでしょう。
References
長谷川修司 (2015). 研究者としてうまくやっていくには:組織の力を研究に活かす. 講談社.
全国大学生協連院生委員会 (2023). 第12回全国院生生活実態調査 概要報告. https://www.univcoop.or.jp/press/life/report_m12.html (Accessed: 2024/8/9)
〈この記事を書いた人〉
下平剛司
総合研究大学院大学統合進化科学コース博士後期課程1年。福岡大学シチズンサイエンス研究センター研究員。初めて参加した学会の開催地は熊本で、このボードゲームの開発に関する発表をした。