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113)恋人とのすれ違い

●恋愛トラブルの処方箋

恋人ができた、だけどもうまくいかない。その結果、別れを選択することに。そんな話をさまざまなしかたで聞くことがあります。恋愛に関わることって、大学に入ってからしっかり考えるようになる人も割と多い気がしませんか。


高校までよりも自分自身のプライベートな時間を確保しやすいからか、自己のアイデンティティが固まりつつある時期だからか、はたまた高校までよりも人間関係がずっと広くなるからか。プライベートで親密に関わる他者について、そして自分自身について、大学に入ってから思い悩むことも多々あります。


恋愛に関わることを (実際に自分と恋愛関係にある相手の有無は問わずとも) 周りの人が話していることって、そこそこあるような。みんながみんな、そうというわけではないでしょうけれども。もちろん、自分にもそれが、浮かれた話ばかりでなく、大きな悩みや障害として降りかかってくることはあります。自分の感情への対処の仕方がわからず、たくさん悩んでしまい、その結果生活自体がどんどん崩れる、なんてことも。


こんなとき、どうしましょうか。いくらか策が挙げられます。



●誰かに話してみる

こういった類の話について、相談相手としてどのような人が思い浮かびますか。共通の親しい友人、相手とは疎遠である友人、似たような経験をしている友人や先輩、飲み屋で偶然近くに座っていたような全然知らない人、カウンセラーなどの専門職、家族など、思いつくものはいくらかあります。話すだけでも気持ちが落ち着き、気分が楽になることもあります。一方で、話すことでいろんな気持ちが強くなり、さらに苦しくなること考えられます。話したことで、相手や周りとトラブルになる、なんてことも。



●紙に書いたりスマホで文章にしたりする

書き言葉として出力されることで、頭の中が整理されることや、自分が何を気にしていたか、どんな気持ちを抱いているかが分かることもあります。言葉にしてみないと分からなかった相手への想い、もしくは、相手から受け取っていたであろう想いに気づくことも。逆に、自分の考えている内容や抱いている感情、もしくは恋人の状態を含めた今の状況が、あまりにも受け入れがたく思えて苦しくなることもあります。こんなに嫉妬してしまう自分は醜い、だとか。相手がこんなにも自分のことを大事にしてくれていないと、改めて認識すると悲しくなる、だとか。そもそも、自分が見ていたあの相手を、本当にその人自身として、自分はちゃんと見られていたのだろうか、とか。



●一度問題から離れてみる

勉学やアルバイト、他の人との交流に身を投じることで、自分の気持ちが落ち着き、自分の生活の方にもっとリソースが割けるようになることもあります。「新しい恋を見つけたら」なんて、アドバイスしてくる人もいるかもしれません。けれど、気持ちに決着をつけないまま放置することで問題自体が悪化してしまう、もしくは相手との縁が拗れてしまうことや、結局一人でぐるぐる考えて、より思い詰めてしまうことも。問題について考えたくないあまり、自己破壊的に活動してしまう、というように新たな困りごとを抱える人もいます。


いくつか策を挙げてみたものの、「これがよさそう!」と胸を張っておすすめできそうなものは出てきませんでした。とはいえ、他にもいろんな方法があるとは思います。それこそ、インターネットなどで調べてみたらさまざまな対処法が出てくるでしょう。


自分が自分を大切にする、相手を大切にする、もしくは周りを大切にするために何ができるか、どのように考えたり行動したりできるか。大切にしたいそれらの各々が衝突してしまうときにはどうしたらいいか。個々の私的な関係すべてに通底する「正しいあり方」は、存在しないように思います。今目の前にいる相手、今まさにいる周りの人たち、そして今の私。それぞれが個別的であるからこそ、まさに「あなた」が考え抜くことが必要であるように思います。



 

〈この記事を書いた人〉

下山千遥

京都大学人間・環境学研究科博士後期課程。専攻はドイツ近現代哲学、特にH. -G. ガダマーの解釈学と学問論。「理解するってどういうこと?」「学問のうちで何かを理解することとそのほかでの理解との違いは?」といったことが気になって研究しています。aikoの曲をよく聴きます。

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